支部長雑感

たっちゃんライオン

2020年07月31日

親しい友人にたっちゃんという男がいます。

彼は50歳過ぎても独身を謳歌していました。
しかし、ある時、付き合っていた彼女が妊娠しました。
彼は、彼女と結婚することになりました。

私にその報告をしに来たときのお話です。
彼は本来、結婚や家族を持つことを考えていなかったのでしょう。すこし不安そうな顔をしていました。
これからしっかりやっていけるのか、自分に責任が持てるのか、そんなことを思っていたのかもしれません。

「子供ができた。おれ、結婚する」
「そうかー。たっちゃん、そりゃ良いことだぞ!」
「えッ」
「たっちゃん、はぐれライオンって知ってるか」
「いや」
「ライオンは群れで生活するだろう。一匹のオスに、数匹のメス、それに子供だ。では、ほかのオスのライオンはどこにいるんだ?」
「……」
「ハーレムを作れなかったオスライオンは、はぐれライオンになるんだ」
「それで?」
「はぐれライオンは、自分の食い扶持だけ狩ればいいので気楽だと思うだろ。でも、はぐれライオンはすぐ死ぬんだ」
「ふーん」
「人間を含めて、生き物は生きる意味があって生きているんだ。生きる意味が無くなった時、それは死ぬときなんだ」
「……」
「たっちゃんもこれから家庭を持って生きていくんだ。生きていく意味と役割が増えて、自分の人生も良くなっていくんだ。長生きするぞー」


帰っていく彼は、私の話をどのように思ったことでしょう。
わかりません。

このような話をすると、結婚しない方、子供をもたないご夫婦などより反発をいただくと思います。
日本国憲法第13条を持ち出すまでもなく、個人には自己決定権があります。結婚しない自由、子供をもつかどうかなど家族のあり方を決める自由、身じまい(髪型、服装)などライフスタイル決める自由などなど、個人の人格的生存に関わる重要な私的事項に対して、外部からの介入・干渉を受けない自由です。
もちろん、私はこのような自由を否定するような考えは持っていません。

しかし、50歳を過ぎてこれから家庭を持とうとしているたっちゃんには「はぐれライオン」のことを話したかったのです。
家庭を持つことは、自身の人生の重荷でも苦痛でもないのです。
生きる意味なのだと思うのです。

たっちゃんは今、奥さんと娘さんと楽しく元気に暮らしています。

押忍