2019年01月19日
山内文孝 前支部長(以下、支部長とします)の飼っておられた犬の名前です。文字通り白い犬でした。
支部長のご自宅を訪ねると、いつも庭先で寝そべって、もしくは座っていました。おとなしく、ほとんど吠える声を聞いたことがありませんでした。
シロという名は愛称であります。
フルネームは「イワノフ・シラノビッチ・ポチンスキー」といいます。覚えるのに苦労しました(笑)。
支部長の命名だと思います。
ロシア産の犬には見えませんでしたが(苦笑)。
支部長は、ご生前、毎日シロと散歩しておりました。散歩といっても、そこは支部長のことです。修行の一環でありました。
すなわち、一本歯の下駄で散歩されたのです。
一本歯の下駄というのは、普通の下駄と違い「歯」が一本です。それこそバランスの取りづらい、しかし、体幹を意識し鍛えるのには最適なものです。
イメージとしては、1997年公開のスタジオジブリ「もののけ姫」に登場したジコ坊なる謎の人物がこの履物を使っていますので、ご参照ください。
私も稽古の材料として一本歯の下駄を持っております。
普通の一本歯の下駄は、緒がきつくしっかり固定され、「歯」の長さも短いので、なんとか慣れて歩くことが出来ます。
しかし、支部長の使っておられた下駄は、そんじょそこらの下駄と違いました。レベルが違うというか。普通の一本歯の下駄よりも遥かに緒がゆるいのです。更に一本歯の「歯」の長さが桁違いに長い(履くと高い)のです。履いていてもゆるゆるの上、フラフラなのです。
この下駄は履きこなすのが半端なく難しいもので、私も履かせていただいたことがありますが、1分も持たずにコケてしまいました。コケた私を見た支部長の、なんとも情けないものを見てしまったような眼が印象的でした。
「こいつは稽古が足りんな」というお気持ちだったのでしょう。
支部長は、このはるかに難易度の高い一本歯の下駄を使い、シロと一緒に、いつも悠々と散歩されていたのです。
支部長は、いつも私達にこうおっしゃっていました。
「24時間稽古しろ」と。
これを実践されておられたのですね。
最後に。
毎年、私は支部長のお誕生日に電話を入れていました。
ある年、いつものように電話をしてお祝いを述べると、
「お~、ありがとう。俺の誕生日を祝ってくれるのは、お前とシロくらいなものだ」
と笑っておられました。
支部長がお亡くなりになったのち、シロは、支部長のお姉さんのおうちに引き取られ、大事に可愛がられて、そして天寿を全うしました。
押忍
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