支部長雑感

当たり前を行う

2020年03月26日

「諸悪莫作」(しょあくまくさ)
古来より名僧と言われた方々が、よく人から請われて書かれた言葉です。
「悪いことをするな」という意味です。
修行や年輪を重ねた立派な方が、なぜこのような当たり前なことを揮毫されるのでしょう。
それは、悪いことをしないというのは、そんな簡単なことではなく、とても難しいことなのだということを、その方々は分かっておられたからだと思います。
善良な人でも、周りに誰もいないときに、つい小さな悪いことをしてしまいます。


「山より大きな猪はいない」
当たり前です。しかし、人は日頃より、いろいろ心配するあまり、その心配事が自分の心の中でどんどん大きくなり、身動きが取れなくなってしまいます。
シェークスピアが言っています。
「目の前に見えている恐怖すら、想像力の産み出す恐怖ほどには、怖くないものだ」と。


「眼横鼻直」(がんのうびちょく)
曹洞宗の開祖道元禅師が、中国宋での修行の後、日本に帰ってこられたときに話された言葉です。
「私は中国から一巻の書物も持ち帰らなかった。目は横についている。鼻は縦についている。当たり前のことを当たり前に行うだけだ」と。


新型コロナウイルス問題が続いております。
熊本支部も稽古ができない状況が続いています。
社会の動きが滞っています。仕事もなかなか上手くいきません。
しかし、このようなときこそ、日頃の行いを当たり前のように続けることが大事だと思います。少なくとも、そのような心は持ち続けたいと思っております。

押忍