支部長雑感

「流浪空手」出版記念サイン会

2013年11月01日

私が芦原会館に入門する以前のお話です。

私は高校生の頃から「ケンカ十段芦原英幸」の大ファンでした。そして、将来、空手をするなら絶対芦原道場で(当時は、まだ先代館長は極真会館に在籍されていました)と思っていました。
1980年ごろ、風のうわさで「芦原英幸、極真を辞める!」というのを聞きました。私は、「俺は、どこで空手をすれば良いんだ?」と暗い気持ちになったのを覚えております。その後、芦原会館を設立されたことを知り、ホッとしました。

1981年11月10日、先代芦原英幸館長の初の自叙伝「流浪空手」が発売されました。
当時19歳の私は、東京都杉並区に住んでおりました。
そして、芦原英幸ファンとしては、当然のごとく発売の日に「流浪空手」を買いました。喜び勇んで下宿に帰り、一気に読んでしまいました。

その日か翌日、新聞広告か何かに「芦原英幸『流浪空手』出版記念サイン会」という案内が載っており、確か「11月15日(日曜)14:00から新宿紀伊国屋書店本店にて……先着50名様には芦原会館特製タオル進呈」とありました。

これは、行かずにはおれません。何せ、本物の「ケンカ十段」に会えるのですから。しかも、芦原会館特製タオルまでもらえると。

当日、私は新宿駅に10時過ぎには着きました。紀伊国屋書店本店は、新宿駅東口を上がって2~3分のところです。
私は、開店間もない紀伊国屋書店に入り、書店の方に、サイン会の場所と先着50名までの特典タオルのことを尋ねました。
そして、タオルの引換券をもらえました。開店して6~7分しか経っていないので、当然1番だろうと思っていました。すると、なんと43番でした。ギリギリでタオルをもらえる順番でした。
いかに当時の先代芦原英幸館長の人気が凄まじいものだったかを物語るエピソードでした。 

新宿駅の周りで時間をつぶし、12時過ぎくらいに紀伊国屋書店本店に行きました。
すでに、書店の周りには人が大勢います。私も慌てて並びました。
たしか、サイン会は書店の2階で行われたと思います。
サイン会に並ぶ人は店内の階段に並びました。その模様と言ったら…。
サインを求める人が2階から3,4,5,6階…と上がっていき、さらに降りていくのです。その列は新宿駅の方まで延びていったのです。

私も「流浪空手」を手に持って並びました。書店の階段の途中です。
じーッと黙って待ちます。眼だけキョロキョロ周りを見渡します。
人がたくさんいるのに異様に静かです。
並んでいる人の中には、見るからに武道経験者とおぼしき人や、ゴツイ人などがいました。みなさん、当然「流浪空手」を手に持っています。
印象的だったのは、その並んでいる中の一人の男性が持っている「流浪空手」がボロボロだったことです。どれほど読み込んだのでしょう。発売されて1週間もたっていないのに…。

2時です。時間です。
サイン会が始まりました。列が動き始めました。
もうドキドキです。
階段を抜け、サイン会場が近づき、あたりがパーッと開けてきました。

うォー、あの「ケンカ十段芦原英幸」がいる!(当たり前です)

その広い肩幅、その鋭い眼光。
なにも緊張することないのに、私はガチガチに緊張しました。しかし、視線だけは芦原先生から離しませんでした。芦原先生はスーツ姿でした。

芦原先生はにこやかにサインされ、時には話しかけたりされながら、一人ひとりと握手をされていました。笑顔なのに貫禄が違いすぎます。
私の番になり、自身の本にサインを頂き、握手をして頂きました。大きく分厚い手でした。
そして、タオルも貰えました。

実は、その後のことをあまり覚えていません。目的を果たせた安ど感からでしょうね。

その「『流浪空手』直筆サイン入り初版本」は、私の宝物になりました。
お恥ずかしい話ですが、現在でも、道場生にこの本を見せても、手には取らせません。あくまで見せるだけです(セコイ!)。

後で聞いたことですが、先代館長の「流浪空手」出版記念サイン会の動員数は、当時、紀伊国屋書店本店始まって以来の記録だったそうです。
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