2022年01月01日
明けましておめでとうございます
本年もよろしくお願い申し上げます
武道の世界では、よく「流水」という言葉が使われます。
身体操作において流れるような動きが理想であるとの趣旨で用いられます。
また、水は高いところから低いところに流れるという自然の摂理になぞらえて、空手の動きもごく自然に動けるのが良いという意味もあります。
では、人の「こころ」はどうでしょうか。
この点おいて、私は「水は清き方に流れる」と思っております。
私は今年の秋で60歳になります。
光陰矢の如し。あっという間に還暦です。
しかし、今まで色々ありました。
当たり前です。ない方がおかしいです。
私は元来、不器用なたちで、多くの失敗や損をしてきました。でも、生きていく上で、なんとかズルだけはしてこなかったつもりです。ズルをするほど器用ではなかったとも言えますが。
しかし、60年近く生きてきて、損はしたがズルだけはしなかった人生で学んだこと、気づいたことがあります。
それは「目の前の損が、人生の損ではない」ということです。
真面目に、誠実に、優しく生きること。これこそが人生の大命題だと思っております。
しかしこの生き方は、辛いことがあると、真面目すぎるが故にそれをまともに我が身に受けてしまうことになります。
つらいです。
自身が今まで守ってきたことを捨てたくなります。
世の中を上手にスイスイとすり抜けるほうが得をするんじゃないかと。
しかし、それは「得」であって「徳」にはなりません。
耐えて忍んで、自らの信条を長年守り続けると、
そこには、「まことの心」、「誠実さ」、「正直さ」、「優しさ」、「強さ」、「正義の心」などの清い心が自らの身体の中に醸成されていることに気づくことができます。
以前、この雑感で書かせていただいた「諸悪莫作」(悪いことをするな)というごく当たり前のことを、古来多くの名僧高僧が唱えられたのは本当のことなのだと思います。
悪いことをするなとか、なんでそんな当たり前のことを偉いお坊さんたちが口を揃えておっしゃるのか。
それは、悪いことをせずに生きていくのが難しいからに他なりません。
強く意識して、そして辛くとも、正しい道を歩みたいものです。
こんなにも目まぐるしい世の中だからこそ、自らの心を「清き流れ」にして、正しい生活を続けることが本当に価値のあるものだと信じて、今年も歩んでいきたいと思います。
押忍
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