2022年11月23日
以前、親しくしていた熊本県警の刑事さんとの会話です。
刑「空き巣などの窃盗犯は、必ず同じ手口で犯行を続けるので、その手口を見ると誰の犯行かわかるのですよ。」
私「でも、それならば毎回違うやり方で窃盗を行えば、誰の犯行かわからないので、捕まることはないのではないですか。」
刑「いいえ、奴らは、一度ある方法で成功すると、絶対そのやり方を続けます。成功体験が奴らを縛るのです。」
話はかわりまして。
私が役員を務めている会社が、はるか以前の昭和40年代後半、ある土地を買い、3~4年所有したのち売却しました。すると、買ったときの倍の値段で売れました。
当時の役員はそれを喜び、不動産取引が会社の事業の一つになりました。
そして、平成の世になるまで、同じように土地取引を続けてきました。
一度の成功にしがみつき、その後は成功失敗を繰り返しました。それでも、同様の取引をやめませんでした。
実例として。
バブル期の真っ只中、ある土地を、坪160万円で約500坪買いました。近隣相場よりはるかに高い坪単価でした。
しかして、バブル崩壊の憂き目に会い、数年後に坪87万円でその土地を手放すことになりました。そして、その損失は会社の経営に深刻な影響を与えてしまい、その後、会社の業績は長期にわたり低迷を続けました。
役員の心のなかでは、当初土地取引で成功したことで、その後に失敗することなど想像できなかったのでしょう。
……
成功体験は、学問、仕事や事業、武道、芸能等、あらゆる分野において、果ては人生においても、その道を歩み続ける上で、絶対に必要なことだと思います。
成果が顕れることで、自らの実力、立ち位置、進むべき方向が分かるのだと思います。
そのようなこともあり、いろいろな時代の偉人、著名人など多くの人が、たくさんの成功体験を後世に話し伝えています。
しかし、逆に成功体験が失敗につながっていくのを伝えるお話はあまり聞こえてきません。
よく云われることに「成功に理由はないが、失敗には理由がある」があります。
私は「成功を修めた者」ではありませんが、失敗を検証することと同じ位、成功もその要因を探ることが必要なのではないかと考えます。
それは、万全の準備が活きた、実力が発揮された、タイミングが良くて成功した、幸運が重なった、人に救われて成功した、なぜか分からないが成功した等に対する検証でしょうか。
それに加えて、自らの心理が、成功によりどのように変化したかです。
安心、慢心、奢り、怠惰、思考停止など、成功により良くない心が生まれてきてはいないかということです。
ややもすると成功体験は、その人を硬直化します。その体験にしがみつきます。やり方を決して変えません。大きな成功を経験したならば尚更です。
それを本人は気づきません。
そして、とうとう失敗をしてしまいます。
結論として、最終的には「人の心」に行き着くものだと思います。
成功しても更なる努力を続ける人もいれば、小さな成功に安心してその後の人生において努力を忘れてしまう人もいることでしょう。
常々、「成功体験には落とし穴があるものだ」ということを心に留めおかないといけないのではないでしょうか。
押忍
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