支部長雑感

よし、ついてこい

2014年06月15日

私が茶帯の頃、1988年でした。
ある秋の日、私は、想いを寄せていた人からフラれました。

その日の稽古後、山内文孝前支部長(以下、支部長とします)に、そのことを相談しました。

私「少しよろしいでしょうか?」

支部長「お、良いよ。」

私「あのゥー、女の子にフラれましたー。」

支部長「そうか。
……よし、ついてこい!」

そうおっしゃって、道場のある市立中学校体育館を後にしました。
それぞれが自分の車で道場に来ていましたので、私は支部長の車の後をついていきました。

私は、てっきり、支部長が私を慰めてくださる為、喫茶店でも行って私の話を聞いて下さるものと思いました、少し嬉しい気持ちで、支部長の車のテールランプを見つめて車を走らせました。

夜の10時を回った頃、熊本市郊外にある広大な運動公園に着きました。

2人とも車を降りました。

私「……?」

支部長「よーし。道着に着替えろ。」

私「???」

ついさっきまで、激しい稽古をしていました。秋とはいえ、汗もたくさん出ました。疲れもありました。

支部長「稽古するぞ!」

私「押忍!(心の中:嘘だろー)」

しかし、私は、さもそれが当然であるかのような振りをして道着に着替えました。
支部長も着替えました。

先ほどまで、他の多くの道場生と一緒に稽古して、再び支部長とマンツーマンで稽古が始まりました。

それから2時間、みっちり鍛えられました。

私「ありがとうございました!」

支部長「お疲れさん」

そして、失恋の話などすることもなく、支部長と別れました。
12時を回っていました。
疲れました。ヘトヘトになり自宅へ帰りました。

この日のことは、私の空手に対する気持ちへの、支部長なりのアドバイスであったと思います。
仰りたいのは、日常、どんなに精神的な変化が起ころうとも、変わらずに稽古を続けろ!ということだと思っております。

支部長は、本当に空手のお好きな方でした。
空手に対する気持ちでは、今でも遥か足元にも及ばない気がします。
とにかく、何かにつけ稽古、稽古でした。
それほど、空手や武道に対する思いが強い方でした。先代館長を始めとする武道家の持っている技術に対する研究姿勢にも並々ならぬものがありました。

私が芦原会館の熊本支部を預かることになって、道場運営の指針として、まず心掛けていることは、自分自身の稽古から離れない、口だけの指導者にならない、ということです。
そのような姿勢を、支部長から、身をもって示していただいたと思っております。

押忍

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