支部長雑感

先代館長のワイシャツ

2018年09月10日

私たち地方の門下生は、先代館長が年3回の審査などで、私たちの地元に来られ、親しくお会いし、ご指導を受けるのを楽しみにしておりました。

さて、審査会で地方に来られる際、そして審査に臨まれる時、先代館長はほとんどスーツ姿でした。
そしてそのスーツやワイシャツ姿で、審査の途中や審査後、私たち門下生に、本当に丁寧にご指導してくださいました。そして時には、黒帯の者に本気でかかってこらせて、本物のサバキを見せていただきました(当たり前ですが、瞬殺でした)。
それらご指導は、たびたび長時間に渡りました。
しかし、ワイシャツ姿の先代館長は、激しく動かれた時も、または長い時間サバキをされた時でも、服装に乱れがおきませんでした。
とくにワイシャツがズボンからたくし上がることが全く無かったのです。

たびたびそのような光景を見ていた山内文孝前支部長(以下、支部長とします)が、ある時の審査中に先代館長の動きを見られて、横にいた私に小声で話されました。
「おい、先生(先代館長のことです)のワイシャツを見てみろ。全く乱れてないだろ。あれは身体をねじってない証拠だ!」

前回も書かせていただきましたが、空手に限らず、武道において最も大切なものに腰の動きがあります。
長い修行において腰の鍛錬を続けていると、全ての動きは腰から発生する力により作動するようになります。
つまり、腰と腰から離れた部位とが連動、もしくは同時進行となるのです。その結果身体をねじることがなくなるのです。
ねじらないので、体全体の威力が増して、そしてダイレクトに目標とする標的にそれらが向かうことになります。
逆に、その腰を中心とした動きができない者は、末端の部位が勝手に動くことになるので、身体を大きくねじることになります。威力もその末端に入れることのできる力に限定されてしまいます。当然、普段着で動く時などは、相当衣服が乱れてしまいます。

服装が乱れない動き…
それはまさしく、先代館長が腰の働きを最大限に発揮されていることへの証明となるものだと思います。
支部長は、このことをいつも感嘆しておられました。
武道としての空手を志している私たち芦原会館の門下生は、先代館長のような先師を仰ぐことができて幸せであります。

これには後日談があります。
ずっと時間は経ち、数年前のことです。
私は、ある時の審査終了後、芦原英典現館長(以下、館長とします)と雑談をしていました。
その時、今回お話ししました先代館長のワイシャツの話をしました。
「先代館長は、どんなに動かれてもワイシャツが全然乱れませんでしたね」と。
すると館長は、
「そうなんですよ~。先代はいつも、シャツが乱れないゴム付きの特製ズボンを穿いていたんですよ!」と笑いながらおっしゃいました。

じつは、この時、会話をしていたのは審査会場の外であり、周りに会館関係者以外の部外者が多くいたのです。
なので、館長はあえて冗談をおっしゃって話をそらしたのです。
あとで私を見てニヤリとされておりました。

押忍

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