支部長雑感

T先生

2022年05月26日

先日、熊本にてご講演をされたT先生に、久しぶりにお会いしました。

この「雑感」では、以前は実名で先生のことを色々ご紹介しましたが、先生ご自身、おおやけのお仕事が増えてこられましたので、これからは「T先生」に変えさせていただきます。

T先生との出会いは、2011年4月の名古屋でした。
私が以前従事していました業界は、当時(そして今でも)、社会的批判を受けることが多く、私たち若手経営者も頭を悩ませていました。
そこで、業界のイメージアップのため、一生懸命に社会貢献活動や業界キャンペーンなどを続けていました。
そのような中、同年2月に、T先生はご自身のブログで、我々の業界を礼賛するお話を書かれていたのです。
それを見た福岡県の業界団体の青年部会長が私に、
「一緒にお話を聞きにいきましょう!」
と誘ってくれました。
当然、私は即答し、更に、仲の良かった兵庫県の青年部会長も誘って、3人で名古屋に向かいました。

T先生は、面識のない我々に対して、何の気構えもなくアポイントを受けてくださり、そして、約束の場所であるホテルのロビーまでいらしてくださりました。それも、お一人で飄々と!

ホテルから部屋の一室を借り、お話を伺いました。
私たちはこちらの窮状を話しました。例えば、イメージアップのため社会貢献活動など一生懸命やっているが、一向に社会の評価も上がらないということなど。

すると、T先生は、
「あなた方の業界は、その存在自体で十分に社会貢献をしているのだから、全く気に病む必要はない。社会貢献活動も良いけれど、もっと自分たちに自信を持って良い」
とおっしゃってくださりました。

先生は当時、大学教授として資源材料学、原子力工学などをご専門に活動をされていました。
そのご活動の中で体験されたあるお話をされました。
それは、公害を撒き散らしていた非鉄金属関連の業界が、当時、社会から批判を受けていたのを、団体のトップの決断と行動により見事に社会的評価を覆すことができたというものでした。
その団体のトップの方々が決めた事柄、それは、
①問題を隠さず、
②予め公表し、
③それに対して防御する
というものでした。

T教授からこのお話を聞いた我らは、感動しました。
一見当たり前のような話ですが、実際これを実行に移すとなると、それは困難が容易に想像できるものだと思います。しかし、我らはこれを実行することが、業界の評価、発展につながるものだと確信できました。
この処世の極意のような訓戒は、仕事、家庭、人生などあらゆる物事に共通して言えるものだと思います。

我らは、このようなお話から、T先生のご見解、思考、哲学の一部を感じ取ることができました。

それからというもの、T先生には、業界団体の会議、総会、講演会など多くの行事に出ていただけるようになりました。
ありがたいことに私は、各地の空港、駅などにT先生をお迎え、お見送りする役目を仰せつかり、その送迎の際の車の中などで、個人的に親しく先生のお話を聞かせていただくことができるようになりました。

……
私が、T先生を尊敬申し上げるのは、他の人が思うそれとは違っていて、先生の持つそのはるかに高度な価値相対主義的思考、そしてその実践にあります。
大陸法的法哲学である「価値相対主義」を、日本的に表すとそれは「禅的思考」と言い換えることができます。

実際、このことを直接T先生に伺ったことがあります。
それは、ある時の業界団体総会のあとの祝賀会においてでした。
隣の席に座っておられた先生に、
「先生、僕は日頃から先生のお話を伺っていて、そのお考えに非常に『禅味』を感じるのですが?」
と質問しました。
すると、先生は
「僕は禅をやったことはありません。しかし、ある時、著名な禅宗のご住職から同じことを言われたことがあります」
とおっしゃいました。

禅的思考と武道的精神とは近接性があります。
空手を続けていく中で、この相対的な考えを身の内に養成していくことは、空手の実力のみならず、広く自身の人生に役に立つものだと確信しております。

これからも、T先生にはますますお元気で、日本と日本人のためにご活躍されることを心からお祈り申し上げます。

押忍

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