2026年01月01日
あけましておめでとうございます
本年もよろしくお願い申し上げます
昨年12月、久しぶりに科学者の武田邦彦先生とお会いする機会がありました。
そのときに伺ったお話の中で、とても興味を持ったものがありました。
それは、先生が大学教授時代のお話でした。
ある時、大学の授業で、先生は大勢の学生を前にして、講堂の大きな黒板の左上から右下まで、一続きの化学式をノート等何も見ずに、一気に書いていかれたそうです。黒板の端から端までがその化学式の一つのまとまりだったそうです。
学生たちは唖然としてその様子を見ていました。
その化学式には、途中、カッコ書きが12、3個ほどあったそうです。
一般に、中学高校などで習う数学にもよく計算式にカッコがありますが、それには大カッコ、小カッコと区別しやすい形のものが使われています。
しかし、先生の書かれた化学式には、一重の普通のカッコしか使われていません。
したがって、このカッコに対応するカッコ閉じはどれなのか、なかなか素人には判別できません。否、大学生でもそれは困難なものでしょう。
しかし、先生は、このカッコはこのカッコ閉じと対応しているということを、こともなげに認識して、どんどんチョークを走らせていったのです。それが、12、3個も続くのです。
私も大学時代、法律の条文にあるカッコ書きには辟易したものでした。とくに会社法特有の長い条文には、一つの文章に2,3個のカッコが続くものがあります。そして、法律文章の通例として、複数に重なるカッコでもどれもただの一重のカッコなので、どこでこのカッコに対するカッコが終わるのか分からず、とても読みにくかったのです。そのあげく、会社法が嫌いになってしまいました(苦笑)。
しかし、武田先生のカッコ書きは、私が困惑した会社法のそれとは比べものにならない数のカッコであり、先生はこれを平然と使いこなしていかれます。
これこそ、専門家のなせる業そのものだと思います。
なるほど、専門家というのは、人から見るに困難な仕事・学問・技術・行動等を、平然と当たり前に行うことを生業とする者のことだと言えます。
では、いかにしたら専門家といわれるほどの技術等を身に着けることができるのでしょうか。
殊に私は、専門としての武道の技術、そして心を身に着けるすべが知りたいと思っております。
この点について参考になるかどうか。
古代ギリシャの哲学者アリストテレスは、著書のなかで、行為の習慣化を説きました。
そこには、「ひとは建築することによって大工となり、琴を弾ずることによって琴弾きとなる。それと同じように、われわれはもろもろの正しい行為をなすことによって正しいひととなり、もろもろの節制的な行為をなすことによって節制的なひととなり、もろもろの勇敢な行為をなすことによって勇敢なひととなる。」と書かれています(アリストテレス「ニコマコス倫理学」(上)第73版 71頁 岩波書店)。
そうすると、その道の専門家になるには、分らぬままその道に入り、分らぬままにその道を進み、分ってからでもその道を歩み続けることが、その道の専門家になる王道ではないでしょうか。
今年も、分らぬままでも私は私の道を進みたいと思います。
それこそが専門家たる武道家としての歩みであると信じて。
押忍
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