支部長雑感

避弾経始

2019年04月17日

「ひだんけいし」
耳慣れない言葉ですね。

その前に
私は、同じ身長の人と比べて手足が細いです。代わりに肩幅が少し広いです。
若い頃は、太い腕や足に憧れをもっておりました。すなわち「太いイコール強い」というステレオタイプの考えでした。
しかし、空手を「競技」ではなく「武道」と考える芦原空手で修行を重ねるうちに、この常識的な考えはなくなりました。

一般論として、相手の攻撃に対して、大きな体は有利です。太い腕や太い足で、相手の強力な技をしっかり跳ね返します。逆に、線の細い身体や細い腕は相手の攻撃に対して不利となります。
そこで、この強い攻撃に耐えうる身体を作るため、ウエイトトレーニングなどで身体パーツを大きくしていきます。

これに対して
身体鍛錬は絶対的に必要であり、真摯に継続すべきものではあります。しかし、身体パーツとして腕や足を太くするという考えや行為は、無意味とは言いませんが、武道的技術の向上の観点からは迂遠な行為だと思っております。
真実に、相手の攻撃に対しては、自己の防御技術の向上を図れば良いだけのことです。これには、腕や足の太さは関係ありません。

表題について
武道とは、全く関係ないお話です。「戦車」の話です。
第1次世界大戦で初めて登場した戦車は、第2次世界大戦に及んで、その性能が飛躍的に向上しました。特にソ連、ドイツの戦車の性能は他国を圧倒しました。
この戦車の戦いで、戦車対戦車の撃ち合いとなると自前の車体の防御力が大切になります。そこで、各国で考えられたのが「装甲板の見かけ上の厚さ」です。
車体に使う装甲板を斜めに設計・配置することにより、従来の装甲が薄くても十分に防御性能を発揮できるという考え方です。これが「避弾経始」です。
敵の戦車の砲弾が、自分の戦車の特徴である斜めの装甲板に当たると、その当たる角度により、十分な厚み(例えば、斜めに包丁を入れた刺し身で分かるように、薄いものが幅広になります)をもって、跳ね返す若しくは弾かれて、車体に損傷を与えないというものです。

私は以前、これをいくつかの本で読んだ時、「これは空手にも言える、通用する」考え方だと思いました。
つまり、相手の拳足の攻撃をまともに受けるのではなく、上手くずらす、また外すことにより、ダメージを最小限にするということです。
日頃の稽古で、蹴りや突きを受け、その衝撃や痛みから「あー、やっぱり腕や足を太く強くしなきゃなあ」と考えるのは、自身の稽古が武道の本質からずれてしまうことになります。
よく云われる「吸収受け」「的確な角度の膝ブロック」「正確なステップ」などを(ずっと以前から芦原空手にはこれらの技術があります)、高いレベルで自分のものにすれば、必要以上の身体の大きさや太さといった必要のないものを欲しがることなくなると思います。

これは、空手を離れて一般社会の中での生活に対しても通用する考え方だと思います。
つまり、仕事や人生において、自分に無いものを欲しがるよりも、今既に持っているもの、若しくは現在使いこなしている技術などを、更に高度化することにより、自分自身の成長やレベルアップが可能となるのではないでしょうか。

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