2023年04月29日
1990年代、日本の大企業のうち、かなりの会社がバブル景気の余韻に浸り、利益至上主義、放漫経営、不正、粉飾決算、総会屋への利益供与などで世間を騒がせました。誰もが知る大会社や金融機関の不正が報道で公になりました。
それを見て、業を煮やした国会や政府は、企業の不正を逃さないような商法改正を繰り返しました。
そのような中、ビジネスの世界では、コンプライアンス(compliance:法令遵守)が言われ始め、そして次に、コーポレート・ガバナンス(corporate governance:企業統治)が叫ばれるようになりました。
これらの言葉が示す通り、このままではいけないと悟った日本の大企業は、法改正に伴い、株式会社の機関において様々な形態を取り入れることにしました。
たとえば、報酬委員会等設置会社や監査等委員会設置会社などがあります。欧米型の法人モデルを参考にしています。
これらの会社の取締役は、過半数が社外取締役です。
中小企業からすると、過半数が社外取締役なんてびっくりしますよね。
そこまでしないと、大企業というのは、不正防止や企業として統治ができないのかと思ってしまいます。
そして、近年では、ビジネスの世界ではインテグリティ(integrity:誠実さ)が主張されています。
……
空手道場のHPで、日本企業の経営者のあり方などを語ると、とても場違いだとお感じになられると思いますが、以下は私の勝手な企業経営者観です。異論、反論がおありとは思いますが、ご容赦ください。
私は空手と並行して、長年にわたり、小さいながら企業経営を続けてきました。
今回はその経営に携わった経験の上で、右に書いた日本の企業経営者の姿勢というものについて感じてきたことを、少しだけ述べさせていただきます。
今までお話した言葉、コンプライアンス、ガバナンス、インテグリティを、日本の大企業が「真面目」に唱えているのを見ると、およそ「真面目」に生きている世間の人たちからしたら「なに当たり前のことを言っているんだ!」となると思います。私も過去、これらの言葉が世上にあらわれてきた時、違和感を感じました。
もちろん、大企業やメガバンクを経営したことのない者がとやかく批判しても、当の経営者たちから「人の苦労も知らないで」ということになるかもしれません。
武道の世界で実力を付けていくには、心の成熟を図ることが非常に大切です。これなくして武道家としての未来はありません。
そのような心を持ちたいと思って修行を続けている者たちからすると、不祥事を重ねる企業というのは、とても不思議な存在に思えます。
特に、最後の「インテグリティ(誠実さ)」までいくと、いったい何を唱えているの?と思ってしまいます。
企業経営を続けて、何を達成したいのか、最終目標は何なのか、未来に何が待っていることが理想なのか。
はたしてこれらのことを考えて日頃の業務を務めているのでしょうか。
まさか、大企業のトップたちの多くが「利益こそがすべて」「自らの栄達こそがすべて」と考えているとは思いたくありません。
日本の企業の経営者は、日本人の心をお持ちだと思います。
そこには、利益よりもはるかに大切なもの、そして道標(みちしるべ)が備わっていると思います。
その歩むべき道は、
心の清浄と言っても良いです。
愛と言っても良いです。
禅と言っても良いです。
武士道と言っても良いかも。
これらの気持ちが、企業の舵取りを行う方々の心にあれば、その企業は、社員のとっても、株主にとっても、社会にとっても、はては国家にとっても有意なものとなるに違いありません。
京セラ、KDDI、日本航空などのトップを務められた稲盛和夫さんがお書きになられた多くの著書の中で、つねに「人として」「経営者として」の心のあり方を唱えられたのを、多くの方がお読みになられたと思います。
企業のトップは「こころ」のあり方がすべてだと思います。
私の勝手な「日本における経営者観」でした。
押忍
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