2024年11月25日
日頃の生活の中にでも、武道の真髄に向かうためのヒントがあります。
そして、それは誰でも当たり前に行っている行動であると思います。
今回は例としてその中の3つを挙げたいと思っております。
その1.
「小石につまずいた瞬間、こけないように反対側の足が前に出る」
つまずいた時、瞬間的に反対側の足が出ます。その時は、人は表面の筋肉、すなわち腹筋や脚力を使って足を前に出しているわけではありません。身体が立っているか、前傾になっているので足を前に出すための腹筋が使えません。そこで人間は、身体の内部の筋肉である腸腰筋を無意識に使って、危機を避けようとしています。
その2.
「熱いものに触って、瞬間的に反応して手をはじく」
とても熱くなっているヤカンや鉄板に、不用心に触ってしまうことがあると思います。その時、ものすごいスピードで反応して手を弾いてよけます。意識で考えて対処しているのではなく、手が感覚として触り、そして弾けるという無意識の行動をとります。考えて行動した場合には、大やけどを負います。それだけ考えての行動には時間がとてもかかるということです。
その3.
「歩いていて、低い鴨居に思わず頭をぶつける」
動くはずもない鴨居に頭をぶつけると、何故とても痛いのでしょうか。それは、「究極の体重移動」である「歩く」という動作により、全体重がごく自然に前に進んでいるからです。その際に、自身がまったく予測していない鴨居が突然前に現れ、そしてそこに頭をぶつけると、じつは武道的にはすごいスピードで体重移動しているので(数値的物理的にはたいしたスピードではありませんが、しかし武道的力学では相当なスピードです)強い衝撃が頭にかかるのです。
以上、日常生活においてそれほど珍しくない出来事も、じつは、武道的にはすごいことがその事柄の意味に内蔵されていると思います。
現在私は、「力の」空手、「意識の上の」武道が日常である己の稽古において、いつしかそれには限界が来るのではないかと感じています。
それでも、「武の世界の奥の奥」には、力も意識もはるか超越した世界があると信じています。
そして、今回のこの3つの出来事の中に存在するものは、武道における未知の領域に進む突破口となる動きであり、新たな世界に進むためのヒントや考え方なるのではと思っております。
押忍
2025年02月26日
2025年01月24日
2025年01月01日
2024年12月29日
2024年12月10日
2024年11月25日
2024年10月27日
2024年09月29日
2024年08月30日
2024年07月29日